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外間 智規; 藤田 博喜; 中野 政尚; 飯本 武志*
Radiation Protection Dosimetry, 196(3-4), p.136 - 140, 2021/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)原子力事故初期段階では、放射性物質が環境中に放出されるため、被ばくを回避・低減するために放射線防護対策を迅速に講じる必要がある。防護対策を講じるにあたり環境中の放射能濃度を把握しなければならない。しかしながら、プルトニウムなどのアルファ線を放出する人工核種は、ウラン壊変生成物などの天然核種による妨害のため、空気中の放射能濃度を測定することは困難である。したがって放射能濃度を測定するためには化学分離が必要であった。本研究では、化学分離を必要としない多重時間間隔解析(MTA)を用いた新しい緊急時モニタリングシステムを紹介する。このモニタリングシステムはアルファ/ベータ線サーベイメーターが組み込まれており、各放射線の検出時間間隔に注目した解析方法を採用した。このシステムは測定結果を算出するまでの時間が短く、取り扱いが容易で非破壊測定であることが特徴である。システムの検出限界は9.510 Bq mと見積もった。MTAを用いたモニタリングシステムは、試料の迅速な測定やスクリーニングが要求される状況で役立つと考えられる。
武石 稔
JAEA-Review 2020-077, 388 Pages, 2021/05
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、試験研究用原子炉施設、ウラン濃縮施設、MOX 燃料加工施設、使用済核燃料再処理施設など、様々な種類の原子力施設に係る研究・開発を行ってきた。これらの原子力研究開発施設周辺において、環境監視、環境放射線モニタリングは、周辺住民の安全と安心を確保する上で無くてはならないものである。本報告は、これらの原子力施設周辺の環境放射線モニタリングにおける筆者の長年の経験や最新の情報に基づき、計画から評価までの考え方や手法を包括的にまとめたものである。内容としては、環境放射能の調査研究にかかる歴史、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告における公衆の放射線防護の考え方、放射線や放射性核種の環境中での移行、特に被ばく経路などの基本的な知識、モニタリング計画の立案、放射線測定の方法や放射線測定機器類、環境試料の分析技術、品質保証など、重要と思われる基本的な技術情報を取り上げた。また、環境放射線モニタリングの対象としては、空間線量の測定、大気、降雨雪、降下じん、飲料水、河川水、湖沼水、土壌、河川や湖沼の堆積物、野菜や牛乳、牧草などの陸上環境試料、並びに海水、海底土、海産物等の海洋環境試料の分析・測定技術、測定結果の評価、施設寄与の検出や弁別と公衆の代表的個人に係る線量評価手法などについて記載した。また、チェルノブイリ原子力事故に伴う特別環境モニタリングや東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所事故における緊急時モニタリングについて、JAEA が関係した実績を中心に紹介する。最後に、環境影響調査研究などに関して筆者が関係したトピックスを付記した。
藤原 健壮; 柳澤 華代*; 飯島 和毅
Environmental Radiochemical Analysis VI, p.89 - 96, 2019/09
ストロンチウム90は核分裂生成物のうち収率と毒性が高いため、環境試料の測定では低濃度での測定が必要となる。特に事故時においては迅速な環境モニタリングと健康影響の評価が必要である。環境中の放射性核種の移行挙動の評価のためには、溶液のみならず、生物や土壌中の分析が必要である。溶液中におけるストロンチウム90のICP-MSによる迅速分析手法が近年確立されている。しかしながら本手法では、土壌や魚等の分析については、同位元素や対象外物質を多く含むため、重核が測定に影響を与えるなどの理由によりまだ確立されていない。よって本研究では、魚や土壌中に含まれるストロンチウム90の分析手法をっかうりつするため、ストロンチウムの同位体やカルシウムのような共存イオンの影響を評価した。
吉田 芳和; 南 賢太郎
原子力工業, 27(7), p.22 - 26, 1981/00
TMI事故を契機としてわが国の緊急時モニタリングの強化のための検討事項のうち、放出源のモニタリングなど施設側におけるモニタリング技術を中心に述べたものである。
山田 純也; 瀬谷 夏美; 羽場 梨沙; 武藤 保信; 橋本 周; 清水 武彦; 高崎 浩司; 横山 須美*; 下 道國*
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故初期における大気中I-131濃度の同一地点における連続的な測定データは非常に限られたものであった。このことは原子力災害時のような混乱した状況下で、空気サンプリング試料の線核種分析に基づく大気中I-131濃度の評価が容易でないことを示している。このような背景を踏まえ,比較的容易に測定できるモニタリングポストの測定値から大気中I-131濃度を推定する手法について検討した。本手法では測定値としてNaI(Tl)検出器の波高分布から得られるI-131の364keVの光電ピークカウントを用いた。この測定値に放射線輸送計算コードEGS5により計算した濃度換算係数を乗じることで大気中I-131濃度の推定を試みた。本発表では濃度換算係数の計算結果を中心に報告する。
山田 純也; 瀬谷 夏美; 羽場 梨沙; 武藤 保信; 橋本 周; 清水 武彦; 高崎 浩司; 横山 須美*; 下 道國*
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故時における大気中I-131濃度の同一地点の連続的な実測データは非常に限られたものであった。このことは原子力災害時のような混乱した状況下で、空気サンプリング試料の線核種分析に基づく大気中I-131濃度の評価が容易でないことを示唆している。比較的容易に測定できるモニタリングポストの測定値から大気中I-131濃度を推定する手法について検討した。この手法を用いて推定した大気中I-131濃度の推定値と空気サンプリング試料による実測値を比較した。実測値には原子力機構大洗から約20kmの地点に位置する原子力機構東海でサンプリング・評価された大気中I-131濃度を用いた。2011年3月15, 16, 21日のプルームの飛来による大気中I-131濃度の上昇を本手法による推定値はよく追従している。本手法による大気中I-131濃度の評価値は実測値に対してファクタ4以内であった。
外間 智規; 藤田 博喜; 飯本 武志*
no journal, ,
原子力事故や放射能事故のような緊急時には、空気中の放射性核種をモニタリングすることが重要である。しかしながら、豊富に存在する天然放射性核種による妨害が大きく人工核種の測定は困難である。本研究では、アルファ/ベータサーベイメータと多重パルス時間間隔解析法を用いて、プルトニウムなどのアルファ線を放出する人工核種を迅速に測定可能なモニタリングシステムを開発した。開発した本モニタリングシステムの検出限界値は、空気中の人工放射性核種濃度に換算して2.510 Bq cmとなった。
斎藤 公明
no journal, ,
日本保健物理学会が主催する緊急時モニタリングを対象としたシンポジウムにおいて、国際原子力機関の動向ならびに事故後の中長期モニタリングに関する今後の課題について依頼講演を行う。
山田 椋平; 橋本 啓来*; 玉熊 佑紀*; 細田 正洋*; 床次 眞司*
no journal, ,
2012年に定められた原子力災害対策指針では、緊急事態において大気中の放射性物質の濃度を把握することが重要であるとしている。また、その補足参考資料では、線放出核種向けの大気中放射性物質測定装置に用いるろ紙(フィルタ)は、粒子が内部に入り込まないメンブレンフィルタを用いることとしている。一方、これらの資料には、メンブレンフィルタの具体的な材質については言及されていない。本研究では、これまで大気中放射性物質捕集用フィルタとして検討されてこなかった材質を含む複数のメンブレンフィルタにおいて性能評価を行った。
細田 正洋*; 斎藤 公明; 三上 智; 真田 哲也*; 大森 康孝*; 武田 晃*; 山田 崇裕*; 平尾 茂一*; 谷 幸太郎*; 折田 真紀子*; et al.
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故の教訓を反映した我が国の緊急時モニタリング体制の整備は、原子力発電所の再開が行われる現状にあって最重要事項である。保健物理学会緊急時モニタリング検討臨時委員会では、我が国のモニタリング体制に関する包括的調査を行い、緊急時における環境及び個人モニタリングを実施するための体制の整備と強化を目的とした提言を行うべく活動をしている。本委員会の調査活動の概略と成果報告に加え、緊急時モニタリングに係る我が国の体制強化に資する提言について発表する。
外間 智規
no journal, ,
緊急時モニタリング検討委員会では、日本の緊急時モニタリングについてフェーズ(初期・中期・長期・復旧期)ごとに技術や体制等に関する情報収集を行い、将来的に議論が必要となる事項等について提言することを検討している。初期・中期モニタリングの提言検討においては、住民の避難等実施の判断に用いられる「空間線量率モニタリング」と公衆の甲状腺被ばく線量推定のために行われる「甲状腺モニタリング」を対象とした。日本保健物理学会から過去に発表された「福島第一原子力発電所事故に関する放射線防護上の課題」等を参考に抽出された現行のモニタリングの不足部分ついて、本検討委員会で議論した内容を報告する。
佐々木 美雪
no journal, ,
原子力機構(JAEA)では2011年以降、福島県内外で多くの放射線モニタリングを実施してきた。それらのデータは帰還困難区域の解除等に大きく役立てられている。一方で、震災直後の初期対応は、地震とそれに伴う停電及び通信機能の停止により、初期の緊急時モニタリングの結果の共有等に問題があったことが報告されている。それらの経験を踏まえ、現在では国の原子力災害対策指針の改定等がなされている。JAEAでは、福島における環境モニタリング等で無人機を用いた測定技術の開発を進めてきた。それらの技術を生かし、緊急時対応を意識したモニタリング及び解析システムの構築を行った。本発表では、福島の経験で培われたモニタリング技術を新たに原子力防災へと適用した成果について発表する。
外間 智規
no journal, ,
日本における原子力災害時の空間線量率モニタリングは、住民の防護措置等の原子力災害対応と関連付けられている。原子力災害時の空間線量率モニタリングの実施方針について、原子力災害対応の区分(初期対応段階、中期対応段階及び復旧期対応段階)や緊急事態の区分等との関連を踏まえて整理を行った。また、全国の空間線量率測定装置の特徴について解析するとともに、空間線量率モニタリング結果から推定可能な原子力災害状況について整理し、原子力災害時の空間線量率モニタリングに要求される品質について考察を行った。